オーストラリア ヴィクトリア
ブドウ品種:リースリング、ヴィオニエ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネール
「とてもじゃないけど短い文章では説明できないぐらいたくさんのアイデアがつまっている」とオーウェンが語る、伝統的なブドウ品種だが型にはまりきらない魅力を追求したオレンジ。SB以外の品種は全てスキンコンタクト(平均すると約1週間)させ、別々に醸造。ブレンドされ少量の亜硫酸と共にボトリング。ノンフィルター、清澄剤不使用。ライチやメロンの華やかなアロマ。冷涼さを感じるミネラルと酸に旨みのあるテクスチャー、全てが秀逸。
ソーヴィニヨン・ブラン以外の品種は全てスキンコンタクトさせており、ライチや瑞々しいメロン、ハチミツといった華やかかつ魅惑的なアロマティック系のオレンジワインといえます。標高の高さを想わせる「山のワイン感」が全体を特徴付けながら、ミネラル、旨み、ストラクチャー、酸とどれをとっても秀逸で素晴らしい出来。
LATTA Vino / ラッタ (Pyrenees, VIC)
2018年にグルメワイントラベラー誌によって「YoungWinemakeroftheYear/最優秀若手醸造家」に選出され、冷涼な気候を有するヴィクトリア州中西部の畑から刺激的なワインを造りだすLattaVino/ラッタの「OwenLatta/オーウェン・ラッタ」。彼の両親が1983年に植樹を始め、1994年に設立したワイナリー「EasternPeak」の2代目であり、文字通りぶどうとワインに囲まれて育ったというオーウェン。EasternPeakは当時から化学的な薬品を用いず、無灌漑(近年では気候変動の影響を受け地下水を最小限で使うことがある)で栽培を続け、ワイナリーにおいても人の手による過剰な介入を避けてきたといいます。
オーウェンが醸造家としてデビューしたのは1999年、実に彼が弱冠15歳のときのこと。その年に彼の父親Normanが作業中の事故で離脱した際に、自然な流れで当時学生だったオーウェンがヴィンテージを担当することになったのです。その後も家業を手伝いつつ、大学でワインサイエンスを修了。2006年にワイナリーを継ぐべく戻ると、別のワイナリーでも醸造家として働くことで経験と副収入を得ながらブルゴーニュを中心としてヨーロッパを訪問。そこでの経験から自分たち一族がやってきたことが正しかったという確信を得ると、2012年にはヴィクトリア中西部の畑からの色彩豊かなブドウ(信頼のおける農家からの買いブドウ)で、実験的な試みを多く取り入れたワインをリリースするべく「LATTA」を立ち上げると、瞬く間にオーストラリアのプロフェッショナルたちを魅了していったのです。
元々化学物質に汚染されていなかった自社畑は現在有機農法に移行しており、今後はバイオダイナミック/ビオディナミ農法への移行が進められています。醸造面においても、スキンコンタクトの白、ミネラル溢れる多品種ブレンド、ネッビオーロのロゼなど溢れんばかりのアイデアによるワインが野生酵母による醗酵、最低限の酸化防止剤以外の添加物不使用という基本アプローチの上で造られています。しかし、若くも老練なオーウェンは「すべては土壌が健全であり、そこにブドウの樹が健全に育まれることから始まる。醸造はその延長線上にあるもので、僕にとっては比較的簡単なもの」と言い切ります。だからこそ評論家のマイク・ベニーをして「若手だが、信じられないほど造り手としての経験の深さを感じる。間違いなく若手醸造家としてトップだが、近い将来オーストラリア全体のトップに立つだろう」と言わしめる凄みが宿っているのです。