オーストラリア ヴィクトリア
ブドウ品種:ピノ・ムニエ
淡い色合いとセイヴァリーなアロマから想像できない旨みが素晴らしく、クラシカルな魅力も持つ上質な赤。
キング・ヴァレー Evans Vineyard からのピノ・ムニエ。全体の 80%は破砕せずに2200L のコンクリートタンクで低温浸漬させ自然醗酵、残りの 20%は 5 日間カーボニック・マセレーション。どちらも古樽へとバスケットプレス、澱と共に 7 ヶ月熟成させアッサンブラージュ。軽くフィルタリングさせ、少量の酸化防止剤と共にボトリング。
NomadsGarden/ノマズ・ガーデン
は2017年ヴィクトリア州ビーチワースでスタートした小規模生産(年産3500箱)のマイクロ・ネゴシアン。立ち上げたのは1989年生まれの若き醸造家BenSchulz-Dahlenburg/ベン・シュルツ・ダーレンバーグ。幼少期から醸造家だった両親の傍でブドウ畑に親しみながら育ち、現在は自身のレーベルでワインをリリースしながらビーチワースで名声高いワイナリーEldoradoRoad/エルドラド・ロードの2代目としても活躍している男です。「醸造家夫婦の息子だったから、いつも週末はブドウ畑で手伝いをさせられていたんだ。当時はそれが嫌で、早く都会に行きたいと考えていたよ」と語るように、当初は醸造家になるつもりはなかったというベン。大学では環境科学を専攻しその道で職を探していましたが、2009年に両親が独立してワイナリーを立ち上げると当初から参画。さらに2012年にはナパで収穫を経験し現地の醸造家と交流したことで、自分の中にあるワイン造りへの情熱を再認識することになったと言います。そのまま南アフリカでもヴィンテージを経験し、翌年オーストラリアへと戻った彼はチャールズ・スタート大学へ入り栽培・醸造を学びつつ、複数のワイナリーで経験を積みながら修士号を取得します。2017年には本格的にエルドラド・ロードに合流し、さらに自身のプロジェクトとしてノマズ・ガーデンを設立しました。
ベンが2代目として携わるエルドラド・ロードでは当初から全て畑に由来する野生酵母によって自然に醗酵させ、余計な添加や介入をしないような造りを実践していたこともあり、彼が他のワイナリーで経験した工業的なワイン造りには強烈な違和感を覚えたと言います。「コンヴェンショナルな造りでは安定した品質のワインが造れるけれど、同時にブドウが本来持っていた個性も取り去られてしまっていた。複数の産地をブレンドすることも多くて、それは畑の偉大なテロワールを台無しにしてしまうことだとも思った。だから僕は自分のワインは全て野生酵母によって自然醗酵させ、単一畑のブドウのみで仕込むことにしたんだ」と語る通り、ノマズ・ガーデンのワインはヴィクトリア州北東部のワイン産地(KingValley,AlpineValleys,Beechworthなど)の単一畑のブドウから、最低限の人的介入アプローチによって造られます。さらにサヴァニャンやピノ・ブラン、ピノ・ムニエといったこれらの産地では従来あまり注目を集めてこなかったブドウ品種にもスポットを当てることで成功を収め、このエリアで最も注目すべき新世代となっているのです。