日本 宮城
ブドウ品種:メルロー
今振り返ると、2021年という年は、ここ数年でビッグヴィンテージでした。通年よりも積算温度は高く、秋雨もあれど、その後9月中盤から10月にかけて、ずっと晴れの続く穏やかな気候で、ぶどうも安心してみていることができました。
8月に整枝し、房まわりの除葉、9月に糖度20度目安で、適正に摘房。さらに1ヶ月強追熟させて、10月下旬に収穫。この時点で、2,500キロほどの収穫量から、さらにより良いぶどうだけを選りすぐって仕込むのが、Rossoです。大野さんのこの区画のメルローは、摘房を含めて総量3,000キロ。そこからRossoになるのは、半分の1,500キロです。園地の半分だけでしか仕込むことのできない、とても貴重で、高貴なワインです。大野農園のメルローは樹齢20年ほど。その間、大野さんの愛を一身に受けて成熟した樹は、時間をかけたからこそ、またその土地の条件も合間って、素晴らしいぶどうに育ちます。
それゆえ、仕込みもシンプルに。畑での厳重な選果、さらに熟度の高いぶどうのみを全て除梗、1ヶ月の醸し期間中、数回だけプッシュダウンの手を加え、必要最低限のケアだけを毎日様子を見ながら行います。その後、優しく、優しくプレスした後に大樽2樽とバリック1樽に詰め、1年間熟成させてから瓶詰め。この大野さんのメルローは、他にはない土地のポテンシャルと特徴をたくさん秘めています。穏やかなタンニン、優しくも深い果実味、突飛なインパクトはなけれど、どこまでも長く続く余韻と酸。まるでピノ・ノワールを連想させるような、とてもエレガントな仕上がりです。まさに、フラッグシップの名に恥じないワインですが、その中でも、群を抜いて良い年でした。丸3年強寝かせてのリリースですが、これから向こう数年寝かせても、さらに進化し続けるワインでもあります。
◯味わい 熟した苺、アプリコット、チョコレートの甘い香り、ピート、本枯節
◯シーン 大切な人と記念日のレストランで。本を片手にくつろぎながら。
◯温度帯 16~20°C
◯グラス ふくよかなボルドーグラス
◯お料理 牛肉やラム肉の照り焼き、筍のロースト、ビーフシチューなど煮込み料理
◯飲み頃 今 ~ 2034年
◯飲みきり 抜栓から 1 週間以内
「ファットリア アルフィオーレ」さんのHPからの引用ですが、考え方や人柄が滲み出る文章なので一部ではありますがそのまま抜粋させていただきました(以下引用)↓
ぶどうは生き物です。私たちがつくるワインも同じく生き物です。
なぜならワインには、酵母という小さな存在が生きているからです。そのため、私たちは人と同じようにやさしい気持ちでぶどうにもワインにも接します。同じ生き物同志、やさしい気持ちで接してつくったワインは、飲む人にとってもやさしいワインになってくれるはずです。
「人」や「ぶどう」との出会いはすべて、自然なことであり、必然なのかもしれません。その年に出会うぶどうを信じて、できるだけ自然のまま、ありのままに造る。これが私たちのワイン造りの姿勢です。工程がシンプルだからこそ、ぶどうに対する想いや、毎日の作業の丁寧さがワインの品質に反映されます。そのようなワイン造りはごまかしもききませんし、とても難しい面もありますが、人を本当に幸せにする「美味しさ」はそこから生まれると思います。