オーストラリア マクラーレンヴェイル
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン85%、シラー 10%、カベルネ・フラン5%
マクラーレン・ヴェイル産のCSを含む3品種は手作業で除梗され、開放タンクで人の足によって1日2回破砕しながら野生酵母による自然醗酵(18日間)。古樽へとプレスされ、澱と共に10ヶ月熟成、その後澱を 除いてさらに4ヶ月熟成。僅かな亜硫酸と共にボトリング。ノンフィルター、清澄剤不使用。 セイヴァリーなタンニンと存在感のある骨格、CSの魅力を正面から捉えながらもオールドファッションにはならない、洗練されたナチュラルワイン。
Poppelvej / ポッペルヴァイ
2016年にデンマーク人のUffeDeichmann/ウフェ・ダイヒマンが南オーストラリア州マクラーレン・ヴェイルに設立したワイナリーで、マクラーレン・ヴェイルおよびアデレード・ヒルズに位置するオーガニック農法の畑から、年産5000箱ほどのワイン(2023年時点)が仕込まれます。ワイナリー名になっている「ポッペルヴァイ」とは、彼の祖先がデンマークの何もない漁村を開拓した際に造った通りの名前であり、「Poppel=ポプラの樹」を意味します。醸造家のウフェは元々コペンハーゲンのワインショップでバイヤーを務め、ヨーロッパの偉大なワインたちの買い付けに携わっていたという経歴を持つ人物。ところが研修で訪れたオーストラリアのバロッサで収穫を経験すると「自分が人生でやるべきなのはワイン造りなのでは」と気付き、現在の奥さんとも出会うことで2015年にはオーストラリアへ移住を果たします。そして2016年にごく僅かなグルナッシュを仕込むチャンスを手にするとポッペルヴァイを設立、副業としてオーストラリア国内のワイナリーで醸造家として研鑽を積みつつ着実に彼のワインのファンを増やしていき、今ではマクラーレン・ヴェイルで最も熱い注目を集めているレーベルの1つとなりました。
ウフェのワイン造りは大学で学んだものではなく、全て実践によって得た経験に基づくもの。原料となるブドウは全てオーガニック農法で栽培され、醸造面でも野生酵母による自然醗酵、少量の亜硫酸以外の添加物を用いない(もしくは無添加の)自然な造りを実践しています。クラシックなワインもナチュラルワインもその両方に深いリスペクトを持つ彼ですが、実際にオーストラリア国内で醸造家として複数のワイナリー(ナチュラルな造りをしていない)で働いている際に得た実体験から、「素晴らしい畑のテロワールを表現するためには、なるべく不必要な人工的な介入は避けるべき」との確信を得たと言います。しかしそういったアプローチを採用しながらも、細部にまでしっかりと意識の行き届いた彼のワインたちは取るべきリスクを十分に弁えた、実に素晴らしいクオリティを誇ります。
これは原料となるブドウのクオリティはもちろんのこと、1つはその限られた生産量のためワイナリーにおける全てのタンク・樽についてウフェ本人がどんな状態にあるか細かく把握できているということが大きいと言います(そのため、今後そのキャパを大きく超えるような生産量にはしないとのこと)。しかしやはりそれだけではなく、デンマーク人でありヨーロッパの偉大なワインたちにバイヤーとして触れてきたという彼の異色のキャリアが造るワインのクオリティに大いに影響していると感じざるを得ません。