オーストラリア サウスオーストラリア
ブドウ品種:モスカート・ジャッロ73%、ミュス カ・ア・プティ・グラン27%
マスカット系2品種の混醸による中辛口の白(残糖約4.6g/L)。手摘み、ステンレスで野生酵母によって醗酵および熟成。ごく軽くフィルタリングおよび清澄(VeganFriendly)。ライチやレモングラスの華やかなアロマに辛口ながら絶妙な残糖感。洗練された飲み口でエスニックな料理にも。
RiccaTerra / リッカ・テッラ
近年オーストラリアのワインシーンを騒がしているワイナリー、“RiccaTerra”/リッカ・テッラ。2019年頃から急速にその名が登場し始め、今やオーストラリアの目先鋭いワインショップでは彼らのワインが所狭しと並べられています。リッカ・テッラはオーナーであり、自らをChaosCreator/カオス・クリエイターと称する栽培家AshleyRatcliff/アシュリー・ラトクリフによって2003年に設立。南オーストラリア州リヴァーランドの地に70haの自社畑を所有し、実に45種類ものブドウ品種、それもオルタナティブ品種を主に栽培しています。ロンドンに生まれ生後間もなくオーストラリアへ移住したアシュリーは、両親が所有していた牧場にブドウを植えたことから栽培に興味を持ち始め、OrlandoやYalumbaといったワイナリーで栽培に従事。そして2003年、リヴァーランドの地に自らの畑を興すべく土地を購入します。
当初はシャルドネやカベルネといったブドウ品種を植え始めたアシュリーでしたが、2004年に南イタリアへ旅行した際に出会った数々の地ブドウたちが全てを変えました。「温暖で乾燥したリヴァーランドの地にこそ、こういったブドウ品種が合うのではないか」と閃きを得たアシュリーはすぐに国際品種を引っこ抜き、ネロ・ダーヴォラやヴェルメンティーノ、フィアーノといったブドウを植え始めます。当初はオルタナティブ
品種という言葉すらない時代、オーストラリアで誰も聞いたことがないような品種にも意欲的に取り組むアシュリーは中々理解を得られませんでしたが(結果自らをカオス・クリエイターと名乗るに至る)、徐々にその合理性が認められるようになります。乾燥が激しいリヴァーランドではどうしても灌漑設備に頼らざるを得ませんが、気候に合致したブドウ品種を植えることで灌漑を最小限にした上で環境負荷の少ないサステー
ナブル農法を実践。オーストラリアでオルタナティブ品種の可能性が見出されるようになると2015年にはGourmetTravellerWine誌によって「PerpetualViticulturistoftheYear/歴史に名を遺す栽培家」に選出、2019年にはJamesHallidayによる最高評価5ツ星を得るに至るのです(現在ではリヴァーランドワイン委員会の会長も務める)。
「私はあくまで栽培の専門家であり、醸造は専門外。誰も真似できないことをする栽培家としてトップレベルでありたいと思っている」と語るアシュリー。そのためリッカ・テッラのワインは全て彼が信頼するバロッサ内3ワイナリーの醸造家によって委託醸造されています。当然委託醸造といっても詳細な工程に至るまでアシュリーと相談の上に決められ、リッカ・テッラが求めるクオリティ・個性は見事に表現されています。また、リッカ・テッラの名前で出されるワインは全て手摘みによって収穫、野生酵母によって自然醗酵され添加物の使用も最小限に抑えられたもの。あくまでクリーンな酒質であることが大前提ですが、なるべく人の手による介入を無くすことで高品質なブドウが持っている魅力を損なうことなくワインへと反映させることができると言います。そうして出来上がるワインはフレッシュかつ瑞々しいほどのフルーツ感に溢れており、個性的でありながら日常に溶け込むようなカジュアルさを備えたものとなるのです。