オーストラリア クイーンズランド
ブドウ品種:ヴィオニエ66%、マルサンヌ17%、ルーサンヌ17%
マンダリンオレンジや完熟したグレープフルーツを皮ごと感じる風味、百合の花やジンジャーを含むたっぷりのスパイス。キャッチーで親しみやすいだけではない芯の通った洗練されたフィネスを感じて頂けると思います。
ジェンティルと同じく自社畑横に埋められたクヴェヴリで長期間(205日間)スキン・コンタクトさせることで生まれるオレンジワイン。これまでは地中に埋めずに使用していたアンフォラがメインでしたが、主にクヴェヴリ仕込みになったことからワイン名も変更になっています。
その名の通り、V=Viognier / ヴィオニエ M=Marsanne / マルサンヌ、R=Roussanne / ルーサンヌというフランスワインを愛するグレンらしいローヌブレンド。このワインは華やかなオレンジワインながら極めて洗練された緊張感のある味わいで、気軽に飲むというよりは飲み手にもしっかりとした構えを要求してくるような印象があるのですが、2021年産はその中ではソフトなタッチになっていると感じました。
LA PETITE MORT / ラ・プティ・モール
「ラ・プティ・モール」はグレンとロバートの2人によって2010年から始まった挑戦的なワインプロジェクトで、母体は彼らが2000年にクイーンズランド州グラニットベルトに設立したワイナリー「ベントロード」。フランスワインをこよなく愛する生化学者だったグレンはある時パートナーであるロバートと共にワインを造る夢を実現させることを決意し、離職。理想の土地を探す旅の途中で2000年、オーストラリアでも極めて特殊なワイン産地グラニットベルトで理想的なロケーションを備えた土地と出会い一目惚れします。すぐに購入を決断した彼らはその土地にまさに一からブドウを植樹。同時にグレンはチャールズスタート大学で醸造学を修める一方、「CakebreadCellers(Napa)」、「ClovelyEstate(豪)」、「HeritageEstate(豪)」など複数のワイナリーでヴィンテージを経験するという驚くべきエネルギーでスキルを重ねていき、自社での経験も相まって着実に自身のビジョンを作り上げていきます。そして2010年にはさらに「もっと挑戦的で面白いことをしてみたい」という想いから限定生産のプロジェクト、ラ・プティ・モールをスタートさせました。
現在およそ3haある自社畑ではサステーナブル農法を実践(近隣の畑からの買いブドウ含む)。雹害のリスクが大きく、1-3月の湿度も高いグラニットベルトでは病害のリスクマネジメントが第一優先ですが、その中でできる限り自然環境に配慮して栽培されています。その姿勢はワイン造りにおいても共通しており、野生酵母による醗酵(状況により培養酵母を併用)、酸化防止剤や清澄剤の使用はワインをクリーンに保つという限りにおいて最小限に抑えられています。まだオーストラリア国内ですらあまり知られていない彼らですが、近い将来センセーションを巻き起こすことは間違いありません。