実験的に1樽だけ造られたソレラ熟成で補酒をしないでフロールをつけながら熟成させたワイン。葡萄自体が力強さを持つ古い区画の葡萄のみを使用。ワインは古樽に移されてから、酸化防止剤も使わずに酸素と共存して独特の味わいを得ている。旨味爆弾!揮発爆弾!
「ドメーヌ・ビネール」のクリスチャンは自社畑の醸造だけに収まらずネゴスを開始。4人の友人の畑の葡萄を使って、より果実を素直に楽しめる楽しいアルザスワインを醸す。
仲間の醸造家の葡萄のみ使用
アルザスのヴァン・ナチュールと言えば必ず名前の挙がる「ドメーヌ・ビネール」。古くから無農薬栽培に取り組むドメーヌで現当主の「クリスチャン」の代になって更に注目を集めている。「レ・ビネール」は「クリスチャン」が2010年から始め たネゴシアン。使用する葡萄は自然なワイン造りに取り組んでいる 4 人の友人の葡萄。「クリスチャン」が栽培にも関わりな がら、醸造を担当している。
『ドメーヌ・ビネールと同じ理念で造っているが、土壌も違うし、樹の状態も違うからまた違った個性。ドメ ーヌの畑はリースリングと相性の良い土壌だが、友人達の畑はミュスカやピノ・グリなどフルーツを表現できる畑が多い』
リースリング最適地ビルドストックレ
「レ・ビネール」に使用する畑の多くは「コルマール」の南に位置する。多様な土壌がモザイクのように複雑 に組み合わさるアルザスの中で、この友人の畑は泥灰土を多く含む風化した石灰土壌。この地域は黒い森と呼ばれるドイツのバーデン地方からヴォージュにかけて存在した巨大な山脈の崩落によって出来た地域。 山脈を背後に守られた畑はアルザスの中で最も降 水量が少ない。
『ゲヴェルツトラミネールやピノ・グリと相性が良い。ワインは肉付きが良く若いうちから楽しめる。香も初めから開く。勿論、ドメーヌ同様に全ての畑はビオディナミが導入されている』
また、リースリングに最適の地として多くの造り手の憧 れの畑「ビルドストックレ」も所有。
『ビルドストックレは素晴らしい。小石と泥土を含む質の良い石灰土壌で痩せている。リースリングにとって最高の条件が揃っている。樹齢は40 年』
グラン・クリュ「オーバーモルシュヴィア」の下方で平地に近い所に位置する。グラン・クリュに格付けされてはいないが土壌、真南向きの斜面、風通しの良さ からグラン・クリュ以上のポテンシャルを持つ。
葡萄樹の力を育成する
『ワインは醸造所ではなく畑で造られる。葡萄の生命力がワインを造る。まずは畑からだ』
「クリスチャン」の畑と比べて若樹が多い友人の畑。まだ葡萄樹にそこまで生命力がないので本当の意味での偉大なワインは生まれてこない。
『若い葡萄は果実を表現することはできるが、土壌を表現することはできない。年齢を重ねて初めてできることもある。同時に若い楽しさもある』
仲間の造り手たちからも大人気なのが「クレマン・ゼロ・ドザージュ」。野性酵母のみで発酵、ノン・ドザージュ、SO2 無添加で造られる。僅か2,800 本。
『瓶内2次発酵の際も砂糖や酵母は加えない。その年の葡萄果汁を加えるだけ。葡萄以外のものは一切加えずに造る泡。造ってみたかった』