Canna Riesling 2022 Moritz Kissinger / カンナ・リースリング モーリッツ・キッシンガー

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ドイツ ラインヘッセン

ブドウ品種:リースリング

カンナ(紺南)は、2020年に生まれたKleinaberWein代表の長女の名前から。使用するSO2は、モーリツが数ヶ月滞在したシャンパーニュ生産者「ムーセ・フィス」のセドリックが自家製造したもの。市販のSO2よりが純度高いため、微量で大きな効果を得ることができる。そのため、ワインの味わいがよりクリアになる。

広がりのある、柑橘や青竹、スパイスを感じるアロマ。研ぎ澄まされた酸と、石灰由来のミネラル感があり、長期熟成のポテンシャルも感じさせます。個性あふれ生き生きとした味わいは、ナチュラルなテイストですが非常に美しいスタイル。

手摘みで収穫後、ブドウを軽く破砕、3時間程静置させた後4時間かけてプレス。モストの50%をステンレスタンクに、残りを古いバリックで自然発酵させ10ヶ月のシュールリー。その後、ステンレスタンクで6週間静置。無清澄、ノンフィルターで瓶詰め。(インポーター資料より)

2020年の春、ドイツのワイン関係者の間でインスタグラムに載せられた1枚の写真が話題になった。ドイツでは言わずと知れた大御所・ケラーの当主クラウスが、アルマン・ルソーのシャンベルタン2005年とキッシンガーのシャルドネ2018年を比較しながら、「どちらのワインを飲んで自分はよりワクワクするか言い難い」とコメントしたものだった。それまで無名だったモーリッツ・キッシンガーは、この瞬間からラインヘッセンのライジングスターとなった。

彼に初めて会ったのは2021年の夏だった。何か面白いことがあると常に豪快に笑い、人の笑みを引き出すことがとても上手い。かと思うと、時折話し掛けづらいほど真剣な眼差しでグラスを見つめていたりする。とにかくワインに関する意見交換が好きで、彼の元に滞在していたこの夏はひたすら色々なワインを開け、あれこれと語り合った。ワイナリーはマインツから南に約20km下ったユルヴェアスハイムという小さな村にあり、彼の畑からはライン川を一望できる。モーリッツは土壌が主に粘土から成るユルヴェアスハイムと、石灰岩から成るディーンハイムに畑を所有しており、果実味やリッチさを表現させたい品種はユルヴェアスハイムに、上品さを引き出したい品種はディーンハイムに植えている。彼が所有する畑にはピノ・ブラン、ピノ・ノワール、シャルドネといったフランス系品種が多く植えられている。ワイナリーで初めてボトリングが開始されたのは1983年で、モーリッツは4代目当主にあたる。それ以前キッシンガー家はブドウを栽培して販売するだけだった。モーリッツが自分のワインを初めて造ったのは2018年だった。幼少時代から自然が大好きで、環境問題などにも大きな関心があったモーリッツは、ワインを造るにあたって真っ先に土壌の改善から始めた。ビオディナミの哲学やそこで提唱されている具体的な農法と共鳴した彼は、最初のビンテージを造る数年前から土壌の改良を始めた。その視点に立った時、グラスから立ち昇る香りや身体を貫く味わいは結局のところ「エネルギー」であり、畑の総エネルギー量を高めるためには、土壌と向き合わなければならない。土壌の活性化に努めるにあたり、ありとあらゆるものを育む「土」が人間の手によって如何に破壊されてきたかということを知ったモーリッツは大きなショックを受けたと言う。彼が尊敬する多くの生産者が言うように、モーリッツも生産者の仕事は畑から始まると信じており、今後も自然を最大限に尊重したワイン造りを心掛けたいと言う。笑いと真剣さを忘れない彼から生まれるワインはまだまだ人々を驚かせることだろう。