フランス ロワール
ブドウ品種:シュナンブラン
22年は非常に暑く、雨が少なく乾燥した年でした。トゥーレーヌ産の買いブドウのシュナンブランを全房でプレス後、木樽やセメントタンク、ステンレスタンクで発酵・熟成しました。クリアなグリーンイエロー色、洋梨やカリン、マンゴーやアップルミントのアロマ、拡がる果実味とややおとなしい酸味と程よい甘味、洋梨とカリンの香りが強くなりバランスよく心地の良い仕上がりです。
ロワール地方トゥールから東側にロワール河とシェール河の間に広がるACモンルイは1938年に認定され、シュナンブランで辛口から甘口までの白ワインを生産しております。M.JackyBLOTの出現から始まり、今は亡きStephaneCossaisをはじめ色んな生産者がこのACの認知度を高めてきました。
フランツ・ソーモンは2002年からワイン造りを始めた醸造家で、今ではDomaineだけの生産量では足りなく2009年からネゴシアンの会社UnSaumondanslaLoire(アン・ソーモン・ダン・ラ・ロワール)を設立し、意欲的に活躍しております。
無農薬の農法に興味が有り、シュナンブランに挑戦したいとモンルイを選びました。畑で無農薬の仕事はきりがありません。彼の畑は4haですが、オーナーが無農薬とは全く反対の農法を行っていたので、1年目は仕事がエンドレスな状態でした。予算の関係もあり、最初から畑は購入できません。1haを購入し、残り3haは借りました。この3haも将来的に購入予定です。4haをたった1人で化学肥料から無農薬へ切り替える作業が大変なのがご想像頂けますでしょうか?本当に朝から晩まで畑とにらめっこです。このように沢山のエネルギーを頂いた畑から取れたブドウは格別です。彼の畑は毎年毎年、質が向上しております。
久しぶりに彼のモンルイを飲んだら、2002年当時のワインより、グッとグッと洗礼された素晴らしいワインになっております。私の中ではいつまでも若きフランツが印象的ですが、今ではもう大御所の仲間入り、GregoryLeclear氏もフランツの所で見習いとして働いてたことがあり、若手醸造家を育てどんどん指導する立場に回っているのです。丁度脂の乗っている充分な経験を積んだ醸造家。やはりこういうワインは是非リストに載せて頂きたいラインです。(新井順子)
2019年の3月からフランツは、パートナーのマリー・チボーと醸造所、熟成場所をシェアしています。以前より使用しているモンルイ圏内の自宅兼醸造所から、高速道路を使っても車で1時間程かかるvalleresという村で、洞窟(とても広い)を醸造所と熟成場所にして、様々な種類のタンク、アンフォラ、樽を所有しています。洞窟のすぐ向かいには自宅があり、マリーと二人の娘さんと毎日なんだか楽しそうに暮らしております。
この新カーヴではネゴスものを醸造しており、タンクを置く広い場所があるからこそ為せる技ですが、それぞれのミレジムの特徴やブドウの特性に合わせタンクを使い分ける、かつ各キュヴェに熟成の時間もかけてあげることができる、とても良い環境で醸造を行っています。
モンルイにある旧カーヴでは自社ブドウを使ったドメーヌものを醸造しており、新カーヴ近くの新しい畑に植樹したコーとピノノワールで造るドメーヌものの赤ワインが数年後にはお披露目できそうです。(2020年1月訪問)